手技療法を行う上で知っておきたい強擦法とは?【手技のポイントを知ろう!】

手技療法の知識
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強擦法の解説

この記事では手技療法を行う上で知っておきたい強擦法を解説していきます。

強擦法って何?

強擦は『きょうさつ』と読みます。

別名、按捏法とも呼ばれており『あんねつほう』と読みます。

強擦の意味は『強』は強く『擦』は擦る(こする)という意味です。

按捏の意味は『按』は按(あん)ずる(上から手で押さえるという意味)『捏』は捏ねる(こねる)という意味です。

手のひらや指を使い、施術部位の深い位置にある筋組織に伝わるぐらい強めに押し当て、摩る(さする)擦る(こする)といった摩擦を与えながら揉みほぐしていく技法です。

強めの揉捏法と軽擦法を組みあわせたような手技です。

強擦法の基本動作

まず施術部位の開始位置を決めて、手のひらや指を密着させます。

徐々に押圧を加えていき深部の筋肉まで圧が伝わる感覚で、円を描くような動作や直線を描くような動作で揉みほぐしていきます。

強擦法の種類

強擦法は、施術者が使用する手の部位によっていくつかの種類があります。

  • 拇指(ぼし)強擦法:拇指(親指)の腹部で強めの押圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。
  • 四指(しし、よんし)強擦法:拇指以外の四指の腹で強めの押圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。
  • 手掌(しゅしょう)強擦法:手のひらを使い強めの押圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。
  • 手根(しゅこん)強擦法:手首の付け根や拇指球(親指の付け根の膨らんだ筋肉)で強めの押圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。

強擦法の効果

強擦法の効果は、負傷や炎症などで硬くなった瘢痕(傷あと)や癒着した筋肉や腱を柔らかくほぐすことができます。

また、関節の可動域を広げたり、血液の流れやリンパ液の流れを促進させる効果も期待できます。

炎症が起こると充血やうっ血などの循環障害を来たします。

充血やうっ血は血液成分が血管外に漏れ出てしまい、組織の中や粘膜の表面などに集まっていきます。

これを滲出液(しんしゅつえき)と言います。

滲出液は蛋白成分を多く含み治癒に関わるさまざまな細胞を含んでいます。

強擦法は施術した部位の滲出液を散らし組織へ再吸収させることで治癒が促進されるといった効果があります。

また美容の分野では、腹部や下肢などの皮下組織をほぐし、脂肪の代謝を促進させることで痩身の効果も期待できます。

強擦法の気をつけたいポイント

強擦法は手技のなかでは、強い刺激を身体に与える手技となります。

そのため、施術者と受け手の体格の差、筋肉の張り具合、筋肉の緊張、押圧の力加減などを充分意識しながら行う必要があります。

強擦法で刺激が高まった部位は、施術の途中で軽擦法(軽い力でさする手技)に切り替えることで刺激を抑制することができます。

強擦法と軽擦法を組み合わせることで施術にメリハリがつき、受け手の気持ちを落ち着かせる効果が得られます。

どの手技療法にも言えることですが、男性女性にかかわらず、特に胸部・臀部・腰部・大腿部内側などデリケートな部位を施術する前には『臀部付近に触れますね』や『今からこの部位に触れますよ』ということを相手に一言伝えてください。

いきなり何も言わずに触れてしまうと、相手を驚かせてしまうこともあります。

いきなりデリケートな部位に触れたことで『セクハラだ!』と訴えられたという事例もあります。

誤解の無いように気を配りながら行ってください。

万が一そのような場面に出くわさないよう、自己防衛手段を事前に準備しておくことは大切です。

強擦法のまとめ

強擦法は強めに行う手技なので、初心者の時は自分より体格の大きな相手にうまく力を伝えることが難しいかと思います。

手技を始めたばかりの時はコツがわからず、指先や手先だけで力いっぱい施術することで手指を痛めてしまうということもあります。

しかし、これらは経験を積んでいくことで次第に力の入れ加減を体が覚えていき、乗り越えていくことができます。

千里の道も一歩からです。

練習実践を繰り返して貴方なりの手技を手に入れてください。

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