圧迫法の解説
この記事では手技療法を行う上で知っておきたい圧迫法を解説していきます。
圧迫法ってなに?
指や手のひらを使い、押して圧を加えていく手技を圧迫法と言います。
マッサージを行う上でよく使用される手技です。
圧迫法の基本動作
まず対施術部位の開始位置を決め、手のひらや指を密着させます。
開始位置が決まれば、そのまま垂直方向にゆっくりと押して圧を加えていきます。
圧を加えきったら、押した速さと同じくらいの速さでゆっくりと圧を抜いていきます。
手のひらで圧迫するときは広く大きく手のひら全体を密着させ、手のひら全体に体重をのせて圧を加えていきます。
指で圧迫する時は、主に拇指(親指)先の腹の部分を密着させ、指先に体重をのせて圧を加えていきます。
圧迫法の種類
圧迫法は、術者が使用する手の部位によっていくつかの種類があります。
- 拇指(ぼし)圧迫法:拇指(親指)だけを使い押圧します。
- ニ指(にし)圧迫法:拇指と示指(人差し指)の二本の指を使い押圧します。
- 四指(しし、よんし)圧迫法:拇指以外の四本の指だけを使い押圧します。
- 手掌(しゅしょう)圧迫法:手のひらを使い押圧します
- 手根(しゅこん)圧迫法:手首の付け根を使い押圧します。
- 手拳(しゅけん)圧迫法:握り拳を作り拇指以外の四指の背側や指関節を使い押圧します。
施術部位に狭い範囲の圧を加えたい時は、指を使うと圧力が集中するため強い刺激を与えやすくなります。
対して広い範囲に圧を加えたい時は、手掌や手根部を使うと広い面に圧力が分散するため刺激がやわらかくなります。
圧迫法の効果
圧迫法の効果は、体の痛みや痙攣(けいれん)を抑え、興奮作用が高まった神経を落ち着かせることができます。
また筋肉の緊張をほぐすことで、血液の流れやリンパ液の流れを改善させるといった効果もあります。
緊張して余分な力が入った部位を緩めることでリラクゼーション効果を高めていくといった作用があります。
圧迫法の気をつけたいポイント
圧迫法には間歇性(かんけつせい)圧迫法と持続性圧迫法があります。
間歇性圧迫法とは対象部位に一定間隔(1秒〜2秒くらい)でリズミカルに圧迫と弛緩を繰り返しながら進めていく方法です。
持続性圧迫法とは適度な押圧を加えたまま3秒~5秒(時にはそれ以上)くらいの時間をとりながら進めていく方法です。
間歇性圧迫法は血液の流れやリンパ液の流れを促進させる効果を得ることができます。
持続性圧迫法は筋肉のコリや張りを緩める、神経痛を抑える、痙攣(けいれん)を抑えるといった効果を得ることができます。
施術を進めていく際には呼吸を意識し、受け手が息を吐いたときに、施術者は指先や手のひらに自身の体重をのせるように押していきます。
圧迫を緩めるときには受け手が息を吸うタイミングで緩めていきます。
施術者と受け手の呼吸を意識することでリズムがつかみやすくなります。
圧の強さは相手が痛いと感じる強さよりも、心地良いという強さで行うと受け手はリラックスできます。
特に気をつけてもらいたいことは、骨粗しょう症が疑われる高齢者や体つきが華奢(きゃしゃ)な女性に対して施術する時です。
強い圧を加えることで骨折させてしまう恐れがあります。
中でも肋骨や背骨は骨折しやすい部位です。
うつ伏せの状態で胸郭を背部から圧迫する時には細心の注意を払いながら施術するよう心がけてください。
施術部位に対して、適した手法の選び方の基礎となるものはありますが、この施術部位に必ずこの手法を使いましょうといった決まりはありません。
施術者の体格と受け手の体格の差・性別・年齢・基礎疾患はあるのか?などを考慮しながら、自分自身にあった手法を選択していけばよいでしょう。
どの手技療法にも言えることですが、男性女性にかかわらず、特に胸部・臀部・腰部・大腿部内側などデリケートな部位を施術する前には『臀部付近に触れますね』や『今からこの部位に触れますよ』ということを相手に一言伝えてください。
いきなり何も言わずに触れてしまうと、相手を驚かせてしまうこともあります。
いきなりデリケートな部位に触れたことで『セクハラだ!』と訴えられたという事例もあります。
誤解の無いように気を配りながら行ってください。
万が一そのような場面に出くわさないよう、自己防衛手段を事前に準備しておくことは大切です。
圧迫法のまとめ
実践に入ると自分より体格の大きな相手を施術することもあり、うまく相手に圧を加わえることができないということで悩みます。
指先に自分の体重をのせるようにと教えられますが、これがなかなか難しいことなんです。
手技を始めたばかりの時はコツがわからず、指先や手首を痛めてしまうということはよく話です。
しかしこれらは、経験を積むことで必ず乗り越えることができます。
圧迫法が上手になれば力の入れ加減を体が覚え、他の手法にも活かすことができます。
圧迫法は施術の柱となる手技ですから、練習実践を繰り返し技術を手に入れてください。
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