揉捏法の解説
この記事では手技療法を行う上で知っておきたい揉捏法を解説していきます。
揉捏法ってなに?
揉捏は『じゅうねつ』と読みます。
別名、揉撚法とも呼ばれおり『じゅうねんほう』と読みます。
『揉』は揉む(もむ)『捏』は捏ねる(こねる)『撚』は撚る(ひねる)という意味です。
一般的に揉捏法という呼称を使用されることが多いです。
手のひらや手根を使い、押して圧を加えながら粘土やパン生地をこねるような動作と揉むという動作を合わせて行う手技です。
マッサージを行う上でよく使用される手技です。
揉捏法の基本動作
まず施術部位の開始位置を決め、手のひらや指を密着させます。
開始位置が決まれば、そのまま垂直方向にゆっくりと押して圧を加えていきます。
その押圧を加えたまま、施術部位をこねるように動かしていきます。
施術部位に圧を加え、円を数回描くようにこねながら揉みほぐして移動していく方法とい、施術部位に圧を加え、アルファベットのZを描くようにジグザグにこねながら揉みほぐして移動していく方法があります。
また、施術部位によっては指でつまみ、こねながら揉みほぐしていくといった揉捏法もあります。
揉捏法の種類
揉捏法は、術者が使用する手の部位によっていくつかの種類があります。
- 拇指(ぼし)揉捏法:拇指(親指)だけを使い押圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。
- ニ指(にし)揉捏法:拇指と示指(人差し指)の二本の指を使い対象部位をつまみ、こねながら揉みほぐしていきます。
- 四指(しし、よんし)揉捏法:拇指以外の四指の腹で押圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。
- 手掌(しゅしょう)揉捏法:手のひらを使い押圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。
- 手根(しゅこん)揉捏法:手首の付け根や拇指球(親指の付け根の膨らんだ筋肉)を使い押圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。
- 手拳(しゅけん)揉捏法:握り拳を作り拇指以外の四指の背側や指関節を使い押圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。
- 把握(はあく)揉捏法:拇指と四師を使い対象部位を強く握り筋肉の走行に沿って絞りながら揉んでいきます。
- 肘(ひじ)揉捏法:肘関節を使い対象部に圧を加え、こねながら揉みほぐしていきます。
揉捏法の効果
施術部位に圧力を加え筋組織をこねながら揉みほぐすことで、筋肉が緩む、血液やリンパ液の流れがよくなるといった効果があります。
体に蓄積された老廃物排出の促進や疲労回復の効果を得ることもできます。
スポーツ後の急性疲労や長時間デスクワークを行った後の肩コリのような慢性的な疲労回復のどちらでも効果を発揮することもできます。
また、腹部のマッサージを行うことで腸の動きを活発にし、便秘を改善させるといった効果もあります。
揉捏法の気をつけたいポイント
揉捏法にはさまざまな応用があるため身体のどの部位に対し、どの手法が適しているかを説明します。
- 手根、手掌揉捏法:背部・大腿部・臀部など大きな筋肉に対して使用します。
- 拇指揉捏法:頭部・肩部・頚部(首)・腰部などをはじめ様々な部位で使用できます。ピンポイントの局所を施術する時にも有効です。
- 二指揉捏法:首筋・前腕部・アキレス腱の付近など二本の指でつまみやすい部位で使用します。
- 四指揉捏法:頭部・こめかみ・顔などの部位に対して使用します。
- 手拳、肘揉捏法:臀部・大腿部など比較的大きな筋肉で多少強めの圧でも大丈夫な部位で使用します。
施術部位に対して、適した手法の選び方の基礎となるものはありますが、この施術部位に必ずこの手法を使いましょうといった決まりはありません。
施術者の体格と受け手の体格の差・性別・年齢・基礎疾患はあるのか?などを考慮しながら、自分自身にあった手法を選択していけばよいでしょう。
どの手技療法にも言えることですが、男性女性にかかわらず、特に胸部・臀部・腰部・大腿部内側などデリケートな部位を施術する前には『臀部付近に触れますね』や『今からこの部位に触れますよ』ということを相手に一言伝えてください。
いきなり何も言わずに触れてしまうと、相手を驚かせてしまうこともあります。
いきなりデリケートな部位に触れたことで『セクハラだ!』と訴えられたという事例もあります。
誤解の無いように気を配りながら行ってください。
万が一そのような場面に出くわさないよう、自己防衛手段を事前に準備しておくことは大切です。
揉捏法のまとめ
揉捏法は手技を行う上で、非常によく使う手技です。
初心者の時は、自分より体格の大きな相手を施術するときに、うまく圧を加わえることができず自分も相手も不完全燃焼で施術を終えるということが出てくるでしょう。
圧を加えながら円を描くように揉みながら移動すると言葉では理解していても、動きがぎこちなくリズムが狂ってしまい、受け手が不満に感じるということも出てきます。
手技を始めたばかりの時はコツがわからず、指先や手首を痛めてしまうということもよく聞きます。
しかし、これらは経験を積んでいくことで徐々に乗り越えていくことができます。
次第に力の入れ加減を体が覚えていきます。
千里の道も一歩から。
練習実践を繰り返し、貴方なりの手技を手に入れてください。
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