介護施設で高齢者はなぜ入浴拒否するのか?【入浴拒否の理由と対処法を解説】

介護LIFE
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今日も入浴拒否をされてしまった

声かけが上手くいかなかった

ここの施設のお風呂は嫌だと言われた

このように介護現場では、利用者の入浴拒否はめずらしくありません。

しかし、その人によって入浴拒否をする原因があります。

しっかりと理解し、原因に合わせた声かけのコツを知ることができれば、拒否されてもその後の声かけで入浴をしてもらうことも可能です。

本記事では、入浴拒否の原因と、原因別の声かけのコツを解説しています。

入浴拒否されにくい声かけのコツと拒否された時の対処法を紹介していきます。

介護施設で入浴拒否が起こる原因 

介護施設では、利用者の入浴拒否という問題に直面することがあります。

入浴拒否の理由は個々によって異なりますが、以下によくある理由を紹介します。

身体的な不快感
入浴時に湯船の温度が合わなかったり、水圧が強すぎたり、肌がかゆくなったりするなど、身体的な問題が生じることがあります。
これらの要素が入浴拒否の理由となることがあります。
疲労感や体力の低下
高齢者にとって、入浴は身体に負担をかける活動であり、疲労感を引き起こすことがあります。
体力の低下や持久力の減少によって、入浴を避ける傾向が生じることがあります。
過去の不快な経験
過去の不快な経験が原因で、入浴に対して恐怖心や不安感がある場合もあります。
過去に浴室で転倒したり、火傷をしたりといった事故やトラブル、不快な体験が記憶に残っている場合は、同じようなことが再び起こるのではないかと恐れてしまい入浴を拒否されることがあります。
過去の不快な経験
過去の不快な経験が原因で、入浴に対して恐怖心や不安感がある場合もあります。
過去に浴室で転倒したり、火傷をしたりといった事故やトラブル、不快な体験が記憶に残っている場合は、同じようなことが再び起こるのではないかと恐れてしまい入浴を拒否されることがあります。
プライバシーの問題
人に身体を見られることに対して羞恥心や個人のプライドを守りたいという意識を持つことがあります。
入浴は個人の身体を他人にさらす行為です。
特に他の人々や介護スタッフに自分の身体を見られることに対して、抵抗感を覚えることがあります。
それは、自己のプライバシーを侵害されたくない、自尊心を守りたいという自然な感情です。
認知症や認知機能の低下
認知機能の低下から「昨日もお風呂に入った」「汚くないから入浴しなくてもいい」などの発言が増え、入浴が必要であることの理解力が低下します。
入浴がなぜ必要なのか、どのように行うべきかという情報が脳に定着せず、混乱や不安を引き起こすことがあります。
その結果、入浴拒否がみられるようになります。
環境の変化
入浴室内の配置や設備、湯船の大きさや深さ、浴槽の高さなど、以前の生活環境とは異なる要素が介護施設の入浴環境にはあるかもしれません。
これにより、環境の変化に対する不安や恐怖感を抱き、入浴を避ける傾向が見られるのです。
時間やルーティンの変更
高齢者は安定した日常生活のパターンを求める傾向があります。
入浴はその中でも重要な一つの要素であり、時間や頻度が変更されることによって、彼らの日常に変化が生じます。
この変化は、不快感や不安を引き起こし、入浴を拒否する要因となることがあります。
無気力やうつ病
心理的な問題やうつ病の影響を受けると、高齢者は自己ケアや日常生活に対する関心やエネルギーを失いがちです。
そのため、入浴への取り組みに対して消極的になり、入浴を拒否することがあります。
自己決定権の欠如
入浴は個人のプライバシーと身体の清潔を守る重要な行為です。
しかし、介護施設では、スタッフの都合や効率性を考慮して入浴のスケジュールや手順が決められることがあります。
このような状況では、利用者は自己決定権を奪われたと感じ、抵抗の形で入浴を拒否することがあります。

これらの理由による入浴拒否の背後には、個人によって異なる具体的な要因が存在します。

それぞれの要因を理解し、適切な対処法を検討することが重要です。

入浴拒否の利用者に効果的な声かけ

入浴を拒否する理由は様々であることを紹介しました。

それでは、入浴を拒否される利用者さんがいる場合、どのように対応したら良いのでしょうか?

入浴拒否の原因別に具体的な声かけの一例をご紹介します。

以下に介護現場ですぐに使えるものをお伝えしますので、ぜひご自身の介護業務にお役立てください。

会話に対する苦手意識を克服できるチャンス!

身体的な不快感による拒否の場合

「温度が熱すぎる」「ここのお風呂に入ったら体がかゆくなる」と感じている利用者に対しての声掛けの例は次の通りです。
「湯船の温度を細かく調整できますので、好みに合わせてお入りいただけますよ。」
「体を洗う石鹸は肌にやさしいものを使用していますので、心地よい泡できれいに洗えますよ。」
「水圧も調節可能です。強すぎず、お好みに合わせたシャワーでリラックスしていただけます。」

これらの言葉を通じて、あなたの希望に答えますという意思を表示してみましょう。

疲労感や体力の低下による拒否の場合

「入浴は疲れる」と感じている利用者に対しての声掛けの例は次の通りです。
「ゆっくりと温かいお湯に浸かることで、体がリラックスできますよ。」
「お風呂に入ることで、血行が良くなり体内の老廃物も排出されて爽やかな気分になれますよ。」
「入浴後は、お肌がしっとりとしてきて、爽快感を得られますよ。」
「お気に入りの入浴剤や香りの良いシャンプーを使って、贅沢な時間を過ごしましょう。」

これらのセリフは、高齢者に入浴のメリットや心地よさを伝えることで、彼らが浴室に誘導される助けとなります。
大切なポイントは、リラックスや快適さ、リフレッシュといったポジティブな要素を強調することです。

過去の不快な経験による拒否の場合

過去に浴室で転倒したり、火傷をしたりといった不快な経験が原因で、入浴に対して恐怖心や不安感がある利用者に対しての声掛けの例は次の通りです。
「安心してください。浴室の状態は改善されていますよ。」
「滑りにくい床材や手すりが設置されていますよ。」
「火傷を防ぐための温度調節もしっかり行っていますよ。」

このように、改善されたことを伝えることで安心感を与えることが重要です。
また、具体的な改善点を説明することで、利用者が浴室に入ることへの不安を軽減させる効果があります。

プライバシーの問題による拒否の場合

羞恥心により入浴拒否のある利用者に対しての声掛けの例は次の通りです。
「プライバシーを守って個別で入浴できるので、他の方に身体を見られることはありませんよ。」
「一人ひとりの時間を尊重し、他の人が入ってくることはありませんよ。」

このように、利用者に対してプライバシーの配慮を伝え、入浴に協力してもらうよう促す内容です。
個人の尊厳とプライドを尊重しながら、利用者が安心して浴室へ移動できる環境を提供することが重要です。

認知症や認知機能の低下による拒否の場合

認知機能の低下による入浴拒否に対しての声掛けの例は次の通りです。
「昨日もお風呂に入っているなら汚れてないと思いますよ。ですが、お風呂に入ることでお肌がキレイになったり、リラックスできて気持ち良さを感じられると思いますよ。」
これらのセリフは、入浴のメリットや気持ちの良さを伝えることで、高齢者の認知機能の低下による入浴拒否に対して理解と協力を促す効果が期待できます。
利用者に寄り添いながら、穏やかな口調で伝えることが重要です。

浴室の環境変化による拒否の場合

以前の生活環境の違いに戸惑いがあり入浴拒否のある利用者に対しての声掛けの例は次の通りです。
「こちらの浴室は以前とは少し違うかもしれませんが、しっかりとした設備が整っていますよ。安心して入浴できますよ。一緒にゆっくり温まりましょう。」
このように、場所は変わっても、以前と同様またはそれ以上の環境が整っているということを説明することが重要です。
戸惑う気持ちや不安を取り除くことができるよう配慮してください。

時間やルーティンの変更による拒否の場合

日常生活のパターンを崩されることで入浴を拒否する利用者に対しての声掛けの例は次の通りです。
「〇〇さん、今日はお風呂に入る日ですが、希望の時間帯はありますか?」
「午前と、午後のどちらに入浴されたいですか?」

このように、なるべく本人の希望する時間帯を聞き出し、なるべく希望に沿った時間帯に入浴できるよう配慮し声掛けしてみましょう。
同じ時間帯に入浴するパターンの意識付けをしてみましょう。

無気力やうつ病による拒否の場合

心理的な問題やうつ病の影響で入浴の拒否がある利用者に対しての声掛けの例は次の通りです。
「気分転換に入浴してみませんか?気持ちが落ち着くかもしれませんよ?」
「お風呂にゆっくり浸かりながら、頭の中の考えを整理してませんか?」

このように、ゆったりとした時間の中で、一度気持ちを落ちつかせることを意識した声掛けが効果的です。

自己決定権の欠如による拒否の場合

自己決定権を奪われたと感じて入浴を拒否する利用者に対しての声掛けの例は次の通りです。
「入浴のスケジュールや手順について、ご希望やご意見がありましたらお伝えください。できる限り配慮いたしますよ。」
このように、利用者の意見を尊重する姿勢を示すことも重要です。
コミュニケーションを通じて、利用者が自ら入浴の必要性を理解し、自己決定を促すことができます。

以上、具体的な声掛けについて紹介しました。

なぜ入浴を拒否するのかといった背景を考え、声掛けしてみましょう。

視点を切り替えることも大事

高齢者の入浴拒否がある場合、無理に促しても効果はありません。

無理に入浴させようとすると、高齢者の不安や抵抗感が増大し、コミュニケーションの妨げになる可能性があります。

入浴は個人のプライベートな行為であり、利用者の意思や尊厳を尊重する必要があります。

以下の内容を参考にして職員間で話し会ってみてはどうでしょうか?

コミュニケーションの充実
利用者とのコミュニケーションを重視し、入浴に関する意見や要望を尊重します。
利用者がなぜ入浴を拒否しているのかを理解しようとする姿勢が大切です。

試行錯誤と柔軟なアプローチ
入浴に対する拒否反応がある場合、徐々にアプローチを変えながら試行錯誤することが重要です。
例えば、シャワーやタオルでの部分洗いから始めたり、入浴の頻度や時間帯を調整したりするなど、利用者の意向に合わせた方法を探ります。

快適な環境の提供
浴室の環境を利用者にとって快適にする努力を行います。
温度や湿度、照明、音楽などを調整し、リラックスできる雰囲気を作り出します。

入浴以外の清潔ケア
入浴が難しい場合は、入浴以外の方法で利用者の清潔を保つ取り組みを行います。
湿らせたタオルでの拭き取りや部分洗いなどの代替手段を検討し、利用者の健康と快適さを確保します。

入浴拒否に対しては、利用者の個別の状況や意向に配慮し、緩やかなステップでのアプローチを心がけることが重要です。

尊重と理解の姿勢を持ちながら、利用者との信頼関係を築いていくことが大切です。

会話に対する苦手意識を克服できるチャンス!

まとめ

介護施設での入浴拒否の主な原因と入浴拒否がある利用者さんに対する声かけのコツを紹介しました。

介護施設で「声かけが上手くいかない」「利用者さんに入浴を拒否されてしまう」といった悩みを持つ介護職員はたくさんいることでしょう。

入浴拒否の原因は利用者さんの性格や認知症の進行度合いによって多種多様です。

原因を正しく把握して、利用者さんに合わせた声かけが必要です。

また、高齢者の入浴拒否に対して、無理に促すよりも快適な入浴環境を提供し、利用者の意見や要望を尊重するアプローチが重要です。

コミュニケーションを充実させ、試行錯誤しながら利用者のペースに合わせた方法を模索しましょう。

また、入浴以外の清潔ケアや代替手段も検討し、利用者の健康と快適さを確保する努力を怠らないことが大切です。

快適な入浴を目指すことで、利用者の安心感を高め、より良い介護環境を築いていきましょう。

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